家族内で患者が被害者にも加害者にもなる現実:2020年米国論文
論文名(英語):Victimization and Perpetration of Violence Involving Persons With Mood and Other Psychiatric Disorders and Their Relatives
論文名(日本語):気分障害などの精神疾患患者と親族に関わる「暴力」の被害と加害
大学名・研究機関名(英語):University of Pittsburgh; University of Pennsylvania
大学名・研究機関名(日本語):ピッツバーグ大学、ペンシルベニア大学
論文の年(英語):2020
論文の年(日本語):2020年
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32041513/
この米国論文は、気分障害を含む精神疾患のある成人523人を対象に、親族との間で起きる「暴力」の被害と加害を調べたものです。診断後に親族から「暴力」を受けた人、逆に親族へ「暴力」を行った人の両方が報告され、過去6か月の出来事も確認されています。
英語原文: “victims of violence”
日本語訳: 「暴力」の被害者
ここで大切なのは、家庭の中で起きる問題を一方向の憎しみだけで見ないことです。双極性障害では、躁状態や混合状態、睡眠の乱れ、強い易怒性、衝動性が「暴言」や「暴力」として表に出ることがあります。一方で、家族側の恐怖、怒り、拒絶、責め続ける言葉も、患者にとって深い傷になります。論文が扱う被害と加害の併発は、家庭が互いに傷つけ合う構造に入る危険を示しています。
英語原文: “committed violence toward reference relatives”
日本語訳: 基準となる親族へ「暴力」を行った
家族の「理解」がないまま、「性格が悪い」「本性だ」と決めつけると、医療につながる前に関係が壊れます。患者本人の「暴言」や「暴力」を許すという意味ではありません。安全を守ったうえで、それを病気の「症状」として医師に伝え、再発時の対応を家族で決めることが重要です。
英語原文: “often co-occurred”
日本語訳: しばしば併発していた
この論文は、家族関係の中で被害と加害が重なり得る現実を示しています。だからこそ、家庭には、憎しみを増やす対応ではなく、記録、相談、治療、距離の取り方、再発サインの共有が必要です。「暴言」や「暴力」を性格として憎み続けるより、「症状」として扱い、医療と家族協力につなげる視点が、家庭崩壊を減らすために欠かせません。
【最後に】
双極性障害という精神疾患は、近年やっと、遺伝子の異常や脳内ネットワーク異常等が発見されたばかりの、未だに誤解や偏見、差別が根強い「病気」です。家族の「理解」が最も重要であり、家族は、「暴言」や「暴力」への「憎しみ」は時に「憎しみの『暴力』」にもなり、お互いを傷つけたり、お互いが「不幸」になるなどして、「離婚」や「家庭崩壊」へと繋がるケースがある一方で、「家族の理解と協力」によって「幸福」を取り戻す家族もあります。お子さんがいるご家庭では、なおさら、離婚や家庭崩壊の道を「憎しみ」と共に選択するよりも、双極性障害という「病気」や「症状」を正しく「理解」することによって「幸福」を取り戻す道が、お子さんの将来への影響にとっても、家族の「幸福」にとっても、最善の選択といえるでしょう。本「双極性障害ジャーナル」では、1組でもそういった家族の「幸福」を願い、また、「離婚」や「家庭崩壊」を減らすために記事公開活動や、睡眠リズムチェックシートシステムなどの独自SaaSシステムの開発等に取り組んでおります。

