躁状態の身体的な「暴力」リスクを臨床マーカーで見つける:2023年中国論文
論文名(英語):Clinical Markers of Physical Violence in Patients with Bipolar Disorder in Manic States
論文名(日本語):躁状態にある双極性障害患者の身体的な「暴力」に関する臨床マーカー
大学名・研究機関名(英語):Anhui Medical University; Affiliated Psychological Hospital of Anhui Medical University; Anhui Mental Health Center; Affiliated Hospital of Weifang Medical College
大学名・研究機関名(日本語):安徽医科大学、安徽医科大学附属心理病院、安徽省精神衛生センター、濰坊医学院附属病院
論文の年(英語):2023
論文の年(日本語):2023年
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37250432/
この論文は、躁状態にある双極性障害患者の身体的な「暴力」リスクを、医療現場で早く見つけるための臨床マーカーに注目した研究です。対象は躁状態の双極性障害患者316人で、社会的背景、病相の回数、精神病性の特徴、過去の「暴力」歴、血液検査などを集め、Brøset Violence Checklistで身体的な「暴力」リスクを評価しています。
英語原文: “high risk of physical violence”
日本語訳: 身体的な「暴力」の高リスク
この研究の重要な点は、「暴力」を本人の性格や本性として固定していないことです。論文は、躁状態のなかで身体的な「暴力」リスクが上がる患者を、病相、検査値、過去の経過と結びつけて見ています。これは、家族が目の前で経験する「暴言」や「暴力」を、憎しみだけで処理するのではなく、医師に伝えるべき「症状」として整理する考え方につながります。
英語原文: “316 BD-M participants”
日本語訳: 316人の躁状態の双極性障害参加者
研究では、双極性障害のエピソード回数、尿酸、甲状腺ホルモン、過去の「暴力」歴、単球リンパ球比などがリスクと関係していました。こうした指標は、初診や入院時にも確認しやすいものです。家族にとって大切なのは、「また怒っているだけ」と放置しないことです。睡眠低下、怒り、興奮、声の荒さ、物への反応が重なるときは、早めに医療機関へ伝える必要があります。
英語原文: “timely assessment and treatment”
日本語訳: 適時の評価と治療
「暴言」や「暴力」がある家庭では、安全確保が最優先です。しかし、安全を確保した後に必要なのは、本人を性格で切り捨てることではなく、躁状態の「症状」として医療に接続することです。論文が示す「適時の評価と治療」という視点は、家庭の危機を治療につなげるための実践的な入口になります。
【最後に】
双極性障害という精神疾患は、近年やっと、遺伝子の異常や脳内ネットワーク異常等が発見されたばかりの、未だに誤解や偏見、差別が根強い「病気」です。家族の「理解」が最も重要であり、家族は、「暴言」や「暴力」への「憎しみ」は時に「憎しみの『暴力』」にもなり、お互いを傷つけたり、お互いが「不幸」になるなどして、「離婚」や「家庭崩壊」へと繋がるケースがある一方で、「家族の理解と協力」によって「幸福」を取り戻す家族もあります。お子さんがいるご家庭では、なおさら、離婚や家庭崩壊の道を「憎しみ」と共に選択するよりも、双極性障害という「病気」や「症状」を正しく「理解」することによって「幸福」を取り戻す道が、お子さんの将来への影響にとっても、家族の「幸福」にとっても、最善の選択といえるでしょう。本「双極性障害ジャーナル」では、1組でもそういった家族の「幸福」を願い、また、「離婚」や「家庭崩壊」を減らすために記事公開活動や、睡眠リズムチェックシートシステムなどの独自SaaSシステムの開発等に取り組んでおります。

