親子間の警察対応記録から見る重い精神疾患と家庭内の「暴力」:2022年米国論文
論文名(英語):Serious Mental Illness and Incidents Between Adult Children and Parents Responded to by Police
論文名(日本語):警察が対応した成人した子と親の間の事件における重い精神疾患
大学名・研究機関名(英語):University of Pittsburgh; University of Pennsylvania
大学名・研究機関名(日本語):ピッツバーグ大学、ペンシルベニア大学
論文の年(英語):2022
論文の年(日本語):2022年(オンライン先行公開:2020年)
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32662365/
この論文は、米国フィラデルフィアで警察が対応した、成人した子どもと親の間の家庭内の「暴力」事件を分析しています。重い精神疾患が示された事案を取り出し、親子間でどのような状況が生じていたのかを調べています。双極性障害だけを切り出した論文ではありませんが、家族内で精神疾患と「暴言」「暴力」が絡む現実を考えるうえで重要な資料です。
英語原文: “acting aggressively toward family members”
日本語訳: 家族に対して攻撃的に行動する
家庭の中では、本人が興奮し、怒鳴り、親や配偶者に強い言葉を向ける場面があります。家族は恐怖を感じ、怒り、拒絶し、やがて互いの関係が壊れていきます。しかし、論文が示すように、精神疾患をもつ本人と家族の事件には、本人の行動や精神疾患に関係する特有の状況が含まれます。これは、「暴言」や「暴力」を単純な性格だけで説明しない視点です。
英語原文: “domestic violence”
日本語訳: 家庭内の「暴力」
双極性障害の躁状態や混合状態では、睡眠が短くなり、考えが止まらず、感情のブレーキが効きにくくなります。家族から見ると、急に人が変わったように見えます。そのとき必要なのは、家族が孤立して抱え込むことではありません。安全を守り、警察や医療、地域支援につなぎ、起きた出来事を「症状」の経過として記録することです。
英語原文: “unique circumstances”
日本語訳: 特有の状況
この論文から学べるのは、家族内の「暴力」は、怒りだけで終わらせると再発対応に結びつかないということです。本人を責め続けるより、病相のサインを早く見つけ、家庭で距離を取るルールを作り、医療者と共有する必要があります。「暴言」や「暴力」を「症状」として扱うことが、家族を守りながら治療へ戻す道になります。
【最後に】
双極性障害という精神疾患は、近年やっと、遺伝子の異常や脳内ネットワーク異常等が発見されたばかりの、未だに誤解や偏見、差別が根強い「病気」です。家族の「理解」が最も重要であり、家族は、「暴言」や「暴力」への「憎しみ」は時に「憎しみの『暴力』」にもなり、お互いを傷つけたり、お互いが「不幸」になるなどして、「離婚」や「家庭崩壊」へと繋がるケースがある一方で、「家族の理解と協力」によって「幸福」を取り戻す家族もあります。お子さんがいるご家庭では、なおさら、離婚や家庭崩壊の道を「憎しみ」と共に選択するよりも、双極性障害という「病気」や「症状」を正しく「理解」することによって「幸福」を取り戻す道が、お子さんの将来への影響にとっても、家族の「幸福」にとっても、最善の選択といえるでしょう。本「双極性障害ジャーナル」では、1組でもそういった家族の「幸福」を願い、また、「離婚」や「家庭崩壊」を減らすために記事公開活動や、睡眠リズムチェックシートシステムなどの独自SaaSシステムの開発等に取り組んでおります。

