急性の攻撃行動とせん妄性躁病:脳炎症を含む病態として「暴力」を見る2026年トルコ論文

国名(英語):Turkey
国名(日本語):トルコ
論文名(英語):Delirious Mania with Mild Encephalitis and a Reversible Splenial Lesion Successfully Treated with Electroconvulsive Therapy
論文名(日本語):軽度脳炎と可逆性脳梁膨大部病変を伴うせん妄性躁病が電気けいれん療法で改善した症例報告
大学名・研究機関名(英語):Ege University School of Medicine
大学名・研究機関名(日本語):エーゲ大学医学部
発表年(英語):2026
発表年(日本語):2026年
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42036751/

本文

このトルコの症例報告は、双極性障害における急性の攻撃行動を、単なる「性格」ではなく、脳の状態変化を含む重い「症状」として読むうえで重要です。対象となったのは双極性障害のある37歳男性で、急性発症の攻撃的行動、妄想、まとまりのない発話、自律神経の不安定さが現れました。家庭で同じような状態が起きれば、「暴言」や「暴力」と受け止められる可能性があります。

論文が扱うせん妄性躁病は、躁状態、興奮、せん妄、緊張病が重なる重篤な神経精神医学的状態です。これは「怒りっぽい人」という性格の説明では足りません。意識の混乱、脳機能の異常、神経炎症の関与、治療抵抗性の症状が重なって、急激に危険な状態になることがあります。

英語原文: “agitation, delirium, and catatonia”

日本語訳: 「興奮、せん妄、緊張病」

症例では、薬物療法だけでは十分に改善せず、脳MRIで可逆性脳梁膨大部病変が確認されました。その後、電気けいれん療法が開始され、臨床的な改善が得られています。ここで重要なのは、「暴力」に見える行動の背後に、脳画像で確認できる病態が存在しうるという点です。

家族が目の前で見るのは、怒鳴る、支離滅裂に話す、責める、制止を振り切る、物に当たるといった行動です。しかし医療の現場では、その背景に躁状態、せん妄、緊張病、神経炎症、睡眠崩壊、薬物反応の不足があるかを見ます。つまり、「暴言」や「暴力」は人格の判決ではなく、評価すべき「症状」です。

せん妄性躁病のような状態では、本人の意思や道徳心だけでは行動を制御できないことがあります。本人も回復後に、自分が何をしたのか十分に覚えていなかったり、深い後悔を抱いたりすることがあります。だからこそ、家族は「許すか許さないか」だけで抱え込まず、すぐに主治医や救急、専門機関につなぐ必要があります。

この論文は、治療抵抗性のせん妄性躁病に対して電気けいれん療法が有用であった可能性を示しています。電気けいれん療法は誤解されやすい治療ですが、重症の気分障害、緊張病、治療抵抗性の状態で命を守るために使われることがあります。「暴言」や「暴力」が激しい時ほど、精神論ではなく医学的な治療選択肢が重要になります。

英語原文: “acute-onset aggressive behavior”

日本語訳: 「急性発症の攻撃的行動」

また、この症例は神経炎症の関与にも触れています。双極性障害は、気分だけの問題ではなく、脳と身体の生物学的な変化を伴う病気として研究されています。炎症、睡眠、脳内ネットワーク、神経伝達、ミトコンドリア機能が重なって、怒りや衝動性が強まることがあります。

家庭では、「なぜこんなひどいことをするのか」という問いが生まれます。その問いに対して、医学は「病気の「症状」が悪化している可能性がある」と答えます。もちろん安全確保は必要です。しかし安全確保の後に必要なのは、本人への憎しみを固定することではなく、再発サインを把握し、治療を強化し、家族が対応方法を学ぶことです。

この症例報告は、急性の攻撃行動を、脳の病態、神経炎症、重症躁状態の文脈で扱っています。これは「暴力」を免罪するためではなく、次に同じことを起こさないための医学的理解です。原因を「性格」に閉じ込めると治療が遅れます。原因を「症状」として見れば、医療と家族が動けます。

英語原文: “neuroinflammatory involvement”

日本語訳: 「神経炎症の関与」

双極性障害ジャーナルがこの論文を取り上げる理由は明確です。「暴言」や「暴力」は、時に脳の急激な異常状態として現れることがあります。本人を憎み続けるだけでは、家族も本人も救われません。病気の「症状」として理解し、早期に医療へつなぐことが、家族を守り、本人を治療へ戻す道になります。

【最後に】

双極性障害という精神疾患は、近年やっと、遺伝子の異常や脳内ネットワーク異常等が発見されたばかりの、未だに誤解や偏見、差別が根強い「病気」です。家族の「理解」が最も重要であり、家族は、「暴言」や「暴力」への「憎しみ」は時に別の「暴力」にもなり、お互いを傷つけたり、お互いが「不幸」になるなどして、「離婚」や「家庭崩壊」へと繋がるケースがある一方で、「家族の理解と協力」によって「幸福」を取り戻す家族もあります。お子さんがいるご家庭では、なおさら、離婚や家庭崩壊の道を「憎しみ」と共に選択するよりも、双極性障害という「病気」や「症状」を正しく「理解」することによって「幸福」を取り戻す道が、お子さんの将来への影響にとっても、家族の「幸福」にとっても、最善の選択といえるでしょう。本「双極性障害ジャーナル」では、1組でもそういった家族の「幸福」を願い、また、「離婚」や「家庭崩壊」を減らすために記事公開活動や、睡眠リズムチェックシートシステムなどの独自SaaSシステムの開発等に取り組んでおります。

筆者紹介:Satoru Watanabe

筆者:Satoru Watanabe : 精神医療ジャーナリスト(双極性障害ジャーナリスト)兼SaaS開発者

略歴:12歳よりプログラミング講座を受講し、システム開発を開始。2005年に家族が乖離性パーソナリティー障害だと知り、ジャーナリズムを学びながら精神医療ジャーナリスト活動を開始する中で、双極性障害患者が、病気の症状により家族へ暴言や暴力をふるう事で、家族から病気への理解が得られずに離婚や家庭崩壊になるケースが多く、「差別」や「偏見」も多い事から、双極性障害という病気をもっと知ってもらう事を目的として、世界初、そして、日本初の双極性障害に特化したジャーナリスト「双極性障害ジャーナリスト」となり、執筆活動を行いながら、2026年遂に、本ジャーナルを開始。又、2005年より医療分野に特化したシステム開発を本格的に開始した後に、ヴィジュアル電子カルテシステム等の最先端技術を用いた開発を経て、国内外の一般企業や医療機関向けのSaaS開発、及び、システム開発を行う中、睡眠リズムチェックシートSaaSシステムを非営利目的にて2026年に開発し、全国の精神科病院やクリニック等の医療機関へ100%完全無償での提供を行っている。(初期費用、導入コスト、管理費等、すべて完全に無償。及び、さまざまな電子カルテシステムと接続可能、及び、患者独自で自宅やコンビニでプリントアウト等も可能)

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