ミトコンドリア・炎症・酸化ストレスから見る双極性障害:2023年米英論文が示す「病気」の生物学
論文名(英語):Non-Canonical Pathways in the Pathophysiology and Therapeutics of Bipolar Disorder
論文名(日本語):双極性障害の病態生理と治療における非古典的経路
大学名・研究機関名(英語):University of Texas Health Science Center at Houston; National Institute of Mental Health, National Institutes of Health; University of Oxford
大学名・研究機関名(日本語):テキサス大学ヒューストン健康科学センター、米国国立精神衛生研究所・米国国立衛生研究所、オックスフォード大学
論文の年(英語):2023
論文の年(日本語):2023年
出典:https://www.frontiersin.org/journals/neuroscience/articles/10.3389/fnins.2023.1228455/full
この米英論文は、双極性障害を神経伝達物質だけで説明するのではなく、ミトコンドリア、炎症、酸化ストレス、カルシウムチャネル、GSK3、PKC、BDNF、エピジェネティクス、プリン作動性シグナルなど、複数の生物学的経路から整理しています。
英語原文: “mitochondrial dysfunction”
日本語訳: ミトコンドリア機能障害
家族が「暴言」や「暴力」を目の前で受けると、「性格が悪い」「本性だ」と感じるのは自然です。しかし、双極性障害という「病気」そのものは、近年、遺伝子、細胞内エネルギー、免疫炎症、神経可塑性、脳内ネットワークの研究が進んでいる医学的対象です。感情の波や興奮、易怒性も、こうした生物学的背景の上で「症状」として現れます。
英語原文: “changes in immune-inflammatory systems”
日本語訳: 免疫炎症系の変化
論文は、双極性障害の神経生物学が多因子的で複雑であり、ミトコンドリア機能障害や酸化ストレス、免疫炎症系の変化を含むと述べています。この視点は、本ジャーナルの中心テーマと重なります。「暴言」や「暴力」を、本人の人格そのものとして固定するのではなく、脳と細胞の病気が引き起こす「症状」として理解する必要があります。
英語原文: “clinically relevant biological mechanisms”
日本語訳: 臨床的に重要な生物学的機序
もちろん、家庭で危険がある場合は安全確保が必要です。そのうえで、家族が病気の仕組みを学べば、憎しみだけで切り捨てる前に、再発予防、睡眠管理、服薬継続、受診同行、記録の共有という対応を選びやすくなります。双極性障害を生物学的な「病気」として理解することが、家庭の「幸福」を取り戻す土台になります。
【最後に】
双極性障害という精神疾患は、近年やっと、遺伝子の異常や脳内ネットワーク異常等が発見されたばかりの、未だに誤解や偏見、差別が根強い「病気」です。家族の「理解」が最も重要であり、家族は、「暴言」や「暴力」への「憎しみ」は時に「憎しみの『暴力』」にもなり、お互いを傷つけたり、お互いが「不幸」になるなどして、「離婚」や「家庭崩壊」へと繋がるケースがある一方で、「家族の理解と協力」によって「幸福」を取り戻す家族もあります。お子さんがいるご家庭では、なおさら、離婚や家庭崩壊の道を「憎しみ」と共に選択するよりも、双極性障害という「病気」や「症状」を正しく「理解」することによって「幸福」を取り戻す道が、お子さんの将来への影響にとっても、家族の「幸福」にとっても、最善の選択といえるでしょう。本「双極性障害ジャーナル」では、1組でもそういった家族の「幸福」を願い、また、「離婚」や「家庭崩壊」を減らすために記事公開活動や、睡眠リズムチェックシートシステムなどの独自SaaSシステムの開発等に取り組んでおります。

